建築解体やリフォーム工事で採取された建材サンプルの石綿含有有無を判定するには、専門の分析機関での試験が必要です。近年、分析精度の向上や納期の短縮化が進む一方で、検体あたりのコストや報告書の信頼性にも注目が集まっています。この記事では、首都圏エリアでおすすめのアスベスト分析会社6社を、以下の7つの観点で評価し、編集部が厳選してご紹介します。
– 分析精度(熟練度・保有装置)
– スピード(納期・特急対応)
– 価格(検体あたりの単価・追加費用)
– 親身さ(相談対応・報告書のわかりやすさ)
– 信頼性(公的機関登録・実績)
– 柔軟性(現場受入・緊急時対応)
– 付加情報(層別見解の有無/画像添付の有無)
目次
1.なぜ「分析会社選び」が石綿調査全体の信頼性を左右するのか
石綿(アスベスト)事前調査は、建築物の改修・解体時における法的義務であり、 分析結果の信頼性は調査全体の正当性を支える要となります。 現場で採取された試料の分析を担うのが「石綿分析会社」であり、 その分析結果が報告書の根拠となります。
しかし、すべての分析会社が同じ品質で結果を出せるわけではなく、 依頼先の選定を誤ると「検出漏れ」や「報告書不備」による再調査、 行政対応のリスクにもつながります。 正確な判断と迅速な対応を実現するには、信頼できる分析会社との連携が不可欠です。
2.石綿分析会社の主な役割と依頼時の注意点
2-1.定性分析・定量分析の違い
- 定性分析:石綿が含まれているか否かを判定するもの(主に偏光顕微鏡)
- 定量分析:石綿の含有量(%)を測定するもの(主にX線回折など)
通常の事前調査では「定性分析」が主に用いられますが、建材の構成が複雑な場合や官公庁案件では定量分析が求められることもあります。事前に分析種別を確認して依頼する必要があります。
2-2. 分析報告書の扱いと提出タイミング
分析会社が発行する報告書は、調査報告書の添付資料として扱われ、建材ごとの石綿含有の有無を証明する根拠となります。
一般的な流れは:
- サンプルを送付
- 分析(即日~5営業日)
- PDFまたは紙で報告書発行
最近では電子報告用のファイル(CSV・PDF)に対応しているかもポイントです。行政提出に使用する際は、 「報告書に試料名・分析方法・結果・検出限界などが記載されているか」 を確認しましょう。
2-3. 信頼できる分析会社を見極めるチェックポイント
石綿分析会社は多数存在しますが、すべてが同じ水準の品質・対応力を持っているわけではありません。 特に分析結果の信頼性や報告書の形式は、 調査の正確性や行政提出の合否にも関わる重要なポイントです。
以下のような項目を事前に確認すると、信頼できる分析会社かどうかを判断しやすくなります:
- 納期実績(例:即日対応/3営業日以内の標準納期)
- 過去の分析件数や建設会社・自治体からの実績
- 報告書に試料名・分析法・検出限界・結果が明確に記載されているか
- 問い合わせに対するレスポンスの速さ・丁寧さ
- 依頼書の書式や送付案内が整備されているか
特に、初めて依頼する場合は対応フローが分かりやすい会社を選ぶとスムーズです。 Webサイトでの情報公開が少ない会社には、見積やテンプレート送付依頼から始めるのもおすすめです。
3.石綿分析会社を選ぶ際の比較ポイント
3-1. 分析精度と検出限界
3-2. 納期の柔軟性(即日~3営業日など)
調査現場では「すぐに結果が欲しい」というケースも少なくありません。 即日対応・特急便・当日発送OKなど、 納期の柔軟さは大きなアドバンテージです。
3-3. 費用相場と見積方法
一般的な定性分析の価格は:
- 1サンプル:目安として13,000円〜
- ボリュームディスカウントあり
見積依頼時には「分析方法」「報告書形式」「送料・返送費用」が含まれているかを確認しましょう。
3-4. サンプルの送付方法と手続き
石綿サンプルの郵送には以下のような注意点があります:
- 二重密封(チャック袋+封筒)
- 「石綿調査用」と明記
- 元請や発注者が指定する依頼書が必要な場合も
分析会社によっては依頼書テンプレートや送り状PDFを提供してくれるので、 事前に確認しましょう。
4.業界18年のプロが選ぶ 東京都周辺の石綿分析会社 おすすめ6選 [2025年版]
株式会社日新環境調査センター
昭和51年創業。豊富な実績と分析力に定評ある老舗調査機関
公式サイト:http://www.nisshin.co.jp/kankyo/

• 分析精度:全手法(JIS A1481-1~4)に対応。高度な光学顕微鏡と電子顕微鏡を保有。
• スピード:通常3営業日、特急対応あり(要相談)
• 価格:工作物については無料キャンペーン実施中。その他は要問い合わせ。
• 親身さ:相談受付から報告書の補足説明まで丁寧な対応が特徴。
• 信頼性:環境省・厚労省指定機関として多数の官公庁案件を受託。
• 柔軟性:分析前後の相談・再分析依頼にも柔軟。
• 付加情報:層別見解:あり(ケースにより補足あり)/画像添付:要確認
環境リサーチ株式会社
年間1万検体を超える実績とスピードが魅力
公式サイト:https://www.kankyo-research.co.jp/

• 分析精度:ISO準拠の体制で常時3名以上の主任分析者が対応。
• スピード:最短1営業日で速報提出、2日で正式報告も可能
• 価格:要問い合わせ
• 親身さ:報告書は図解付きでわかりやすく、検出判断についても丁寧な説明あり。
• 信頼性:東京都・国土交通省対応の入札実績も豊富。
• 柔軟性:持ち込み分析・出張分析など応相談。
• 付加情報:層別見解:あり(説明文で補足)/画像添付:あり(光学顕微鏡写真)
株式会社EFAラボラトリーズ
高精度分析に特化。都内ラボを拠点とする実力派専門会社
公式サイト:https://www.efa.co.jp/

分析精度:高性能FE-SEM保有。JIS1481-1,4に特化。
• スピード:特急対応可能(即日~翌日)。標準3日以内。
• 価格:要問い合わせ
• 親身さ:再検討対応や他社報告との照合対応もあり。
• 信頼性:大手ゼネコンや官庁との継続取引実績多数。
• 柔軟性:郵送・持込・データPDF対応など選択肢が豊富。
• 付加情報:層別見解:あり(層構造の補足記載あり)/画像添付:要確認
株式会社デイラボ
首都圏対応の迅速・丁寧な検体分析対応が特徴
公式サイト:https://daylab.co.jp/

• 分析精度:JIS1481-1特化。熟練分析者によるクロスチェック体制。一目でわかる報告書。
• スピード:最短24時間納品。納期前倒し報告あり。
• 価格:13,000円(税抜)~(参考価格)
• 親身さ:工事内容の相談も可能。無料セミナーも実施。
• 信頼性:官公庁大規模案件や、3,000社以上の企業と取引実績あり。
• 柔軟性:調査・採取のみも対応。持込対応、報告書PDF納品。東京・仙台・広島拠点で全国をカバー。
• 付加情報:層別見解:あり(報告書に詳細な層構造の記載あり)/画像添付:あり(断面写真の追加オプションあり)
ユーロフィン日本総研株式会社
グローバルなネットワークと高精度な分析体制を持つ信頼の分析機関
公式サイト:https://www.eurofins.co.jp/

• 分析精度:ISO/IEC17025認証を取得した高度な精度管理体制。複数機器併用の高品質分析実施。
• スピード:最速ラボ到着当日速報。以下、翌営業日、翌々営業日等、5種類の納期プランあり。
• 価格:要問い合わせ。
• 親身さ:分析受付後の速報納期を記載した受領確認メールが好評。図解付きで信頼性の高い報告書もお客様から高評価。
• 信頼性: 国内トップクラスのアスベスト分析能力保有。2015年以降で64万検体超の分析実績あり。官公庁からの信頼も厚い。
• 柔軟性:持込・郵送・複数拠点(浜松・福島)での受付が可能で、全国対応可。また調査も請け負っている。
• 付加情報:層別見解:あり(報告書に層構造の記載例あり)/画像添付:あり(断面写真の追加オプションあり)
アルフレッド株式会社
高品質・短納期・高キャパシティを実現する新進気鋭の分析機関
公式サイト:https://alfred-lab.co.jp/

• 分析精度:ISO/IEC 17025認定取得。偏光顕微鏡50台、SEM3台、XRD4台を保有し、JIS A1481に準拠した高精度な分析を実施。
• スピード:通常3営業日以内、特急対応で当日納品も可能。土曜日も営業し、迅速な対応を実現。
• 価格:要問い合わせ
• 親身さ:独自のモバイルオーダーシステム「アルモバ」により、現場から簡単に発注可能。電子報告書の迅速な送付も対応。
• 信頼性:170,000検体以上の分析実績を持ち、国立大学との共同研究やAI技術の導入など、先進的な取り組みを展開。
• 柔軟性:持込・郵送・大量検体(100検体まで追加納期なし)にも対応可能。浜松と福岡に合計3か所のラボを備えて全国各地からの依頼に対応。
• 付加情報:層別見解:あり(報告書に詳細な層構造の記載あり)/画像添付:あり(断面写真の追加オプションあり)
5.まとめ|調査と一貫性のある分析会社の選定を
石綿含有建材の事前調査は、現場での採取だけでなく、分析から報告までの一貫性が非常に重要です。 どれほど丁寧に建材を採取しても、分析精度が低ければ調査全体の信頼性は損なわれてしまいます。
また、昨今の制度改正により報告書の電子化・厳格化が進む中、分析結果の内容やフォーマットも、行政・元請への提出に耐えうる品質が求められています。
単に価格や納期だけで選ぶのではなく、報告書の品質、対応スピード、柔軟性、実績といった多角的な視点で分析会社を選定することが、リスク回避と信頼構築の近道です。
本記事を通じて、自社に最適なパートナー選びの参考になれば幸いです。 「調査」と「分析」を切り離さず、連携の取れた体制づくりを目指しましょう。

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。 自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化した サービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体 工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。
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