自治体の補助金で石綿調査を行う方法|対象事業者と申請手順まとめ

コスト・スケジュール管理

1.はじめに:石綿調査に補助金が使えるって知っていましたか?

「石綿(アスベスト)の調査が必要になったけど、費用が心配…」
そう感じている方は少なくないと思います。特に建物の解体や改修の際、法律で義務化されている石綿事前調査は、専門会社による分析や報告書作成が必要で、数万〜十数万円の費用がかかるのが一般的です。
実はこの石綿調査、自治体の補助金や助成制度を利用することで、費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
国の制度に加え、地方自治体でも独自の支援制度を設けているところが増えており、事業者・建物オーナーともにぜひ知っておきたい内容です。

2.石綿調査に使える補助金・助成制度の概要

民間建築物に対するアスベスト調査等に関して、国(国土交通省)は補助制度(住宅・建築物アスベスト改修事業)を創設しており補助金制度のある地方公共団体において利用することが出来ます。(※補助対象は吹付アスベスト・アスベスト含有吹付ロックウール)
補助制度の無い地方公共団体もありますので、詳細はお住まいの地補公共団体へお問い合わせください。
 • 対象建物:吹付アスベストが施工されているおそれのある住宅・建築物
 • 補助内容:吹付け建材中のアスベストの有無を調べるための調査に要する費用
 • 国の補助額:限度額は原則として25万円/棟(民間事業者等が実施する場合は地方
公共団体を経由)
東京都千代田区の例:「アスベスト含有調査助成」(東京都内アスベスト補助制度一覧)
 • 要件:民間の建築物(申し込みは建物所有者に限る)
 • 補助額:1棟につき25万円を限度(※事前相談が必要)(申込期間R6 4/1~12/27)
大阪市の例:
 • 要件:民間が所有する建築物でこれからも継続して使用する建物で露出している吹
付建材または吹付アスベスト 
 • 補助額:アスベスト含有調査 上限25万円(1試料当りの上限金額10万円)
 • 申請:補助金の交付を受けるには、アスベスト含有調査の前に、大阪市に事前協議
を行ってから補助金の交付申請をして交付決定の通知を受ける必要がある
※制度の内容は毎年変わることがあるため、必ず自治体HPや窓口で確認しましょう。

3.補助金対象となる建物の条件

吹付アスベストに補助対象が限定されている自治体が多くみられます。(仕上塗材・断熱材等を対象に含む自治体もあります)また、所有者以外でも、中小企業者、マンション管理組合の管理者や賃借人(所有者の同意若しくは委任状を得た者)が申請できます。
<対象となる建物・築年数等の条件>
以下のような条件がよく見られます(自治体により異なる場合有り)
 • 建築時期が平成18年8月31日以前に着工した建物
 • 対象自治体内の建物(地域制限)
 • 解体予定がない建物
 • 吹付石綿が露出した建物(改修工事で吹付石綿が露出する場合は対象外)

4.補助金の申請手順と必要書類

補助金の申請にはいくつかのステップがあり、事前準備が重要です。
ステップ1:調査会社の選定
石綿調査を行う有資格者(建築物石綿含有建材調査者など)が所属する会社を選定します。
自治体によっては「登録業者リスト」から選ぶ必要があることもあります。
ステップ2:見積・契約書の取得
調査会社に見積を依頼し、金額を確認します。
見積書・契約書の写しは、補助金申請時の提出書類になります。
ステップ3:補助金申請書の作成・提出
自治体が定める様式に沿って申請書を記入し、添付資料(建物図面・写真・契約書など)を添えて提出します。
ステップ4:調査完了後の実績報告
調査完了後は、実施報告書・請求書・領収書などを添えて「実績報告書」を提出します。
その後、内容が審査され、指定口座に補助金が振り込まれる流れです。

5.よくある申請ミスと注意点

<不備で差し戻されるパターン>
 • 建物の所有者が申請していない(名義違い)
 • 必要な添付資料の不足(図面・写真など)
 • 調査後に申請してしまい、事前申請が必要だったケース
<書類作成の代行は可能?>
一部の調査会社では、申請書類の作成補助やアドバイスを行ってくれるところもあります。
補助金の経験が豊富な会社を選ぶことで、手続きの不安を減らすことができます。

6.2025年法改正に向けた補助金活用のすすめ

2025年には、さらに石綿関連の規制が厳格化される予定です。
これにより、事前調査の義務対象が拡大したり、違反時の罰則が強化される可能性も指摘されています。
今のうちに補助金を活用して調査を済ませておけば、
• 将来のリスクを軽減
• 予算負担を抑制
• 法令遵守でトラブル回避

…といった大きなメリットがあります。
2025年4月1日の労働安全衛生法改正内容を改めてまとめると・・・
• 表示・通知対象物質の追加
• 保護対象範囲の拡大
• 請負人への周知義務

7.おわりに:まずは「自治体の制度」を確認しよう

「石綿調査は必要だけど、費用がネックで…」という方にこそ、補助金制度の活用をおすすめします。
制度の内容は地域によって異なるため、まずはお住まいの市区町村に確認を。
補助金を活用すれば、安全・安心な建物管理を、より負担少なく実現することができます。

▼石綿調査後、簡単に報告書を作成出来るシステムもございます。是非ご覧ください。

前田 淳司

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。 自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化した サービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体 工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
CLOSE