「この石綿建材、なにー?」動画シリーズ始動!【アスファルト防水】

石綿基礎知識

アスベスト(石綿)って、どの建材に入ってるの?
見た目じゃわかりにくい建材たちを、動画&写真でサクッと紹介する【この石綿建材なにー?】シリーズが始まりました!
よく使われている床材や壁材の“見た目・特徴・注意ポイント”を、ナレーション付きで分かりやすく解説。
石綿調査や建材チェックの前に、ぜひご覧ください!

1.アスファルト防水ってどんな建材?

アスファルト防水は、ルーフィングと呼ばれるシート状の防水材を貼り重ねて防水層を形成する工法です。
建物の屋上や庇、バルコニー、下屋などで広く使われ、アスファルトの接着力と防水性を活かした工法として長年重宝されてきました。

中でも「トーチ工法」や「熱工法」などが代表的で、加熱して接着・密着させるため、煙や臭い、粉じんが発生しやすい作業となります。

2.アスベストが含まれている可能性は?

アスファルトルーフィング材の中には、かつて基材の補強材として石綿(アスベスト)が使用されていた製品がありました。
とくに以下のような条件が揃う現場では、石綿含有の可能性が高まります

  • 施工が1980年代以前
  • シートに「破れにくさ」や「耐熱性」が求められていた
  • 製品名・メーカー名・製造年が不明

古い建物の改修工事や防水層の撤去時には、事前の調査・確認が不可欠です。

3.現場での見分け方と注意点

アスファルト防水材に含まれる可能性がある石綿は、ルーフィング材(アスファルトフェルトやトーチ用シート等)の中の基材繊維に混入しているケースが多く、目視での判断は非常に困難です。
現場対応時は以下の点に留意する必要があります。

● 外観や触感では判別できない
ルーフィング材は、黒〜茶系のアスファルトでコーティングされたシート状建材ですが、
外観から石綿含有か否かを見分けることは不可能です。

  • 外側はアスファルト層で覆われており、基材繊維は内部に隠れている
  • 製品によっては細かい砂(鉱物質)や樹脂層で覆われており、層構造の判別が困難
  • 触った感触(硬さ、柔らかさ)では全く判断できない

したがって、見た目や感覚での推定は原則不可と考えるべきです。

● 製品情報・施工年から可能性を推定
以下の情報が得られれば、含有の可能性を絞り込むことができます:

  • 建物の竣工年(または防水施工時期)
     → 昭和40〜60年代(〜1990年代前半)であれば注意
  • 製品名・型番・メーカー名の記載(シール・端部印刷など)
     → メーカーの自主分析結果・国交省のデータベースなどで照合可能
  • 設計図書・工事記録の確認
     → 防水層の仕様が記載されている場合あり(「アスファルトルーフィング●号」など)

これらが確認できない場合は、石綿含有建材と見なして対応する必要があります(石綿則第3条の義務)。

● 部分採取による分析が有効
見た目で判断できないため、一部を切り出して石綿分析を行うのが確実です。

  • アスファルト層の下にある基材(繊維層)を意識してサンプルを採取
  • 切断時に飛散が起きる恐れがあるため、事前に湿潤化などの粉じん抑制措置を実施

4.調査・除去時の対応ポイント

1.事前に防水層の構造と材料を確認
2.アスファルト層を剥がす前に部分採取→分析
3.石綿含有が確認された場合、法令に従って作業計画・養生・除去作業を実施
4.熱源を使用する際は、防じんマスクや養生を徹底し、粉じん・臭気の飛散対策を行う
適切なプロセスを踏めば、現場の安全を守れます。

5.動画:この石綿建材なにー?(アスファルト防水編)

▼動画内でご紹介したシステムはこちらです。ご覧ください。

6.まとめ:表面だけじゃ判断できない!

アスファルト防水材は、一見して石綿を含んでいるかどうか分かりづらく、見た目や感触では判断できません。

特に、加熱工法などで剥がす作業を行う場合、含有していた場合には煙や繊維の飛散により大きな健康リスクが生じる可能性があります。
必ず製造情報の確認または分析調査を行い、「とりあえず剥がす」ことのないようにしましょう。

前田 淳司

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。 自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化した サービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体 工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。

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