工場改修のたびに繰り返す石綿調査を効率化 ― 物件管理で“社内工事部門”の負担軽減

物件管理

工場改修のたびに繰り返す石綿調査を効率化 ― 物件管理で“社内工事部門”の負担軽減

製造業の多くは、自社工場や研究所といった大規模施設を所有しています。建物は稼働年数が長く、定期的な改修や設備更新が欠かせません。その際に必ず必要となるのが「石綿(アスベスト)調査」です。

しかし、多くの現場で繰り返し同じ問題が発生しています。改修やレイアウト変更のたびに調査をやり直し、ゼロから建材を確認し、報告書を作成する――。この非効率なサイクルは、社内工事部門や設備管理部門にとって大きな負担となっています。

製造業の工場外観イメージ

■ 調査の繰り返しが生む課題

工場や研究施設を持つ企業では、以下のような課題が目立ちます。

  • 毎回の調査コストがかさむ: 同じ建屋で何度も調査が発生し、費用も時間も浪費。
  • 履歴が分散し、情報が活用できない: 過去の調査データが紙や個人の管理に留まり、次の改修時に再利用できない。
  • 属人化による手戻り: 担当者が替わると過去の履歴が活かせず、再度ゼロベース調査。
  • 品質ばらつき: 記録方法や切り分け基準が異なり、比較や管理が困難。

これでは社内工事部門が、法令対応の繰り返しに追われ、本来の「生産設備の効率化・改善」に力を注げなくなります。

工期・コスト・品質ばらつきの課題イメージ

■ 解決のカギは「物件管理」

こうした課題を解決するのが「物件管理機能」を備えた調査システムです。建物や工場を単位として調査データを登録・蓄積することで、次回以降の改修では既存情報を参照し、更新や追加部分だけを確認すれば済むようになります。

導入による効果

  1. 調査履歴の一元化:建物ごとに調査・分析結果を蓄積。工場全体のリスクを俯瞰可能。
  2. 調査スピードの向上:ゼロからの調査が不要になり、必要箇所の追加確認に集中。
  3. 調査品質の均一化:登録データを参照することで、表記や判断基準を統一。
  4. 設備投資計画への活用:どの棟にどのリスクが残るかを整理し、長期修繕計画に反映。
物件管理システムのイメージ

■ 工場ならではの活用シーン

たとえば、製造ラインを更新する際、建屋の一部を改修する場合を考えてみましょう。初回調査で建物全体の情報を物件管理に登録しておけば、次回以降の改修工事は対象範囲を絞り、効率よく調査を進められます。

さらに、複数工場を持つ企業であれば、各拠点の調査履歴を横断的に管理できます。これにより、設備投資の優先順位をリスクベースで判断することも可能になります。

ライン更新時の活用イメージ

■ 調査を「コスト」から「資産」へ

石綿調査は法令で義務付けられた対応ですが、単に“やらされる仕事”で終わらせてしまうのはもったいないことです。物件管理の仕組みを導入すれば、調査結果は将来の改修計画や投資判断を支える「資産」として活用できます。

工場改修のたびに同じ手間を繰り返すのではなく、データを積み重ねて次に活かす。そうした取り組みが、社内工事部門の負担を軽減し、発注者から信頼される企業への一歩となるはずです。

調査資産化のイメージ

■ メタラボ石綿事前調査システム

メタラボ石綿事前調査システムなら、物件管理を中心に調査データの一元管理・CSV出力・レポート自動生成までワンストップ。工期リスクとコストを抑えつつ、品質を平準化します。

メタラボ石綿事前調査システムの画面例

■ 著者紹介

前田 淳司
前田 淳司

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。
自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化したサービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。

© metalab.

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