紙・PDF・Excelに散らばる石綿情報 ― “データ化したつもり”が生む落とし穴

物件管理

紙・PDF・Excelに散らばる石綿情報 ― “データ化したつもり”が生む落とし穴

「うちはデータ化している」――そう言われる現場は増えました。ですが実態は、報告書はPDF、写真は別フォルダ、分析結果はExcel、図面は紙。これは保存しているだけで、管理できていない状態です。

石綿調査で本当に必要なのは「どこを・何を・どの根拠で判断したか」が一目で分かること。ファイルが存在していても、紐づいていなければ次の判断に使えません。

■ 「データ化したつもり」が起きる理由

“電子ファイル化”と“データ化”は別物です。ファイルを保存しても、次の条件が揃っていないと実務で使えません。

  • — 物件(建物)単位でまとまっていない(案件単位で分断)
  • — 写真・分析・図面がリンクしていない
  • — 判断メモが残らない(属人化)
  • — 変更履歴が追えない(差分管理できない)

■ バラバラ管理が生む現場のムダ

  • 探す時間: 前回の報告書・写真・分析書を探して半日溶ける
  • 再調査: 根拠が揃わず「念のため再分析」になりやすい
  • 工程遅延: 確認が長引き、着工が遅れる
  • 説明が弱い: 行政・発注者へ根拠提示ができず揉める
手戻りのイメージ

■ 使えるデータに必要な5点セット

石綿情報を“使えるデータ”にするには、最低限この5点が紐づいている必要があります。

  1. 部位: 何の材料か(天井・壁・塗膜・配管保温など)
  2. 位置: どこか(フロア・区画・図面位置)
  3. 写真: 全景+近接(誰が見ても分かる)
  4. 分析: 試料番号・分析書・層別情報
  5. 判断メモ: 除外理由/みなし根拠/注意点
5点セット

■ 運用が続く“最小ルール”

  • — 物件(建物)を主語にして履歴を積む
  • — 写真・分析・図面・メモを1か所に集約
  • — 追加工事は差分として追記(上書きしない)
  • — 引き継ぎは「人」ではなく「データ」で行う
運用フロー

■ メタラボ石綿事前調査システム

メタラボ石綿事前調査システムなら、物件管理を中心に写真・分析・図面・判断メモを一元管理。検索・差分更新・共有ができる“使えるデータ化”で、工程と説明をラクにします。

メタラボの画面例

■ 著者紹介

前田 淳司
前田 淳司

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。
自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化したサービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。

© metalab.

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