分析と施工を同じ会社でやっていませんか? ― それ、仕組みとしてかなり危ないです
石綿対応の現場で、実際によく見かける体制があります。
「分析は自社(または関連会社)で実施し、そのまま同じ会社が解体・改修工事まで行う」――。
一見すると「話が早い」「ワンストップで楽」ですが、構造的に見ると注意が必要です。
問題は技術力ではなく、分析結果と工事で得られる利益が直結してしまう点にあります。
■ 分析と施工を一緒にすると「利益相反」が起きる
石綿分析の結果は、工事内容・工期・コスト・安全対策を左右します。
石綿が「ある」→ 工事は重くなり、手間も責任も増える
石綿が「ない」→ 工事は軽く、早く、安く進む
つまり分析結果は、施工会社にとって「都合の良し悪し」がはっきり分かれる判断材料です。
このとき、分析と施工を同じ会社が担っていると、分析結果が自社の利益に影響する構造になります。
これは制度的には利益相反(コンフリクト・オブ・インタレスト)と呼ばれる状態です。
■ 「うちは真面目にやっている」は関係ありません
この話をすると、よくこう言われます。
「うちはちゃんと分析しています」「ごまかしなんてしていません」
ですが、問題は不正があるかどうかではありません。
問われるのは、
- — 第三者から見て中立に見えるか
- — 利害関係のない体制と言えるか
見られているのは、分析結果の正しさだけでなく、その結果が出た体制です。
■ トラブルが起きたとき、すべてが自社責任になります
もし後日、
- — 工事中に想定外の石綿が見つかった
- — 分析結果の妥当性を問われた
こうした事態が起きた場合、分析と施工を同じ会社が行っていると、こう言われる可能性があります。
「分析も施工も、同じ会社ですよね?」
第三者として独立した分析機関に依頼していれば、
「分析は独立した専門機関が実施している」と切り分けて説明できます。
しかし一体型の場合、責任の逃げ場はありません。これは覚悟の問題ではなく、仕組みの問題です。
■ 講習や制度の考え方ともズレ始めています
石綿関連の講習や教育の場では、近年次の考え方が強調されています。
- — 分析結果だけを見ればよいわけではない
- — 分析工程や品質管理を理解することが重要
- — 分析ラボは見学することが、石綿調査者の講習でもその考え方が示されている
これはつまり、分析は施工とは切り離して考えるべきもの、という思想です。
分析と施工を一体で回す体制は、こうした考え方と少しずつズレ始めていると言えます。
■ 海外では「分析と施工を分ける」という発想が一般的(補足)
海外、とくに石綿規制が早くから進んだ国では、分析と施工を同一の立場で行わないという考え方が一般的です。
理由は単純で、分析結果が工事内容や費用に直結する以上、分析は中立であるべきという発想が共有されているためです。
これは「不正を疑っているから」ではなく、疑われる構造を最初から作らないための考え方です。
日本でも、行政対応や実務の現場を見ると、この思想に少しずつ近づいています。
■ 第三者分析は「逃げ」ではなく「防御」
第三者として独立した分析機関に依頼することは、責任を放棄することではありません。
むしろ、
- — 分析結果の中立性を守る
- — 施工会社としての立場を守る
- — 将来の説明責任に備える
ための、現実的な防御策なのです。
■ 第三者性を前提にした石綿調査という選択(metalab.)
石綿調査で重要なのは、結果だけでなく「根拠が整理され、説明できる体制」であることです。
metalab.では、分析と施工の利害が重ならない体制を前提に、石綿事前調査を行っています。
- — 提携分析会社アルフレッドとの連携により、調査〜分析〜報告までを標準化
- — 調査内容と分析結果の関係性が明確になり、判断根拠を後から説明しやすい
- — 検体採取がある場合も、提携先ラボ到着後原則4日で報告書提出に対応
※「原則4日」は検体が提携先ラボに到着後を起点とした目安です。
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