行政指導が増えているのに事故が減らないのはなぜか? ― “見える現場”と“見えない現場”という構造

物件管理

行政指導が増えているのに事故が減らないのはなぜか ― 現場で起きている“構造的ギャップ”

全国で石綿(アスベスト)に関する行政指導・立入検査が強化されています。本来であれば「監視が増えれば事故は減る」はずですが、実際の事故件数は大きく減少していません。なぜ行政指導が強まっているのに事故が止まらないのか――その背景には、現場と行政の間にある構造的なギャップが存在します。

行政指導と事故件数のギャップイメージ

■ 行政指導が増えても事故が減らない理由

行政のチェックは確実に強化されていますが、事故が減らないのは“現場の実態”と“行政の監視方法”にズレがあるためです。特に次の点が大きな要因です。

  • — 人手不足で全件詳細チェックができない
  • — 書類中心で実態に追いつかない指導体系
  • — 建物履歴が行政にも民間にも残っていない
  • — 調査レベルが担当者ごとにバラバラ
行政指導の課題イメージ

■ 現場と行政の“構造的ギャップ”

行政の目的は「事故を防ぐこと」、現場の目的は「工期を守ること」。双方の目的は一致していますが、アプローチが異なり、次のズレが生じます。

  • — 図面と現場実態が一致していない
  • — レイアウト変更に調査が追いつかない
  • — 前回調査の履歴がどこにも残っていない
  • — 行政への説明が毎回ゼロからスタートになる
構造的ギャップのイメージ

■ 属人化した調査がギャップを広げる

石綿調査は、本来は建物を体系的に調べるべき業務にもかかわらず、担当者の経験値やスキルに大きく依存しています。これが行政との認識ズレをさらに拡大させます。

  • — 判断基準に個人差が大きい
  • — 写真の残し方・量がバラバラ
  • — メモ・判断根拠が共有されない
  • — 再調査時に過去データが残っていない
属人化による調査品質の揺れイメージ

■ ギャップを埋める鍵は「データ管理」

行政と現場のズレを解消するには、書類ベースではなくデータベースとして建物情報を蓄積することが不可欠です。metalab.の物件管理を使うことで、次の改善が可能になります。

  • — 建物・工作物情報を時系列で保存
  • — 写真・分析書・図面の一元管理
  • — 再調査時に前回差分を即把握
  • — 行政への説明責任を強化
データ管理による改善イメージ

■ メタラボ石綿事前調査システム

メタラボ石綿事前調査システムなら、物件管理を中心に調査データの一元管理・CSV出力・レポート自動生成までワンストップ。行政と現場の“溝”をデータでつなぎ、品質と効率を両立します。

■ 著者紹介

前田 淳司
前田 淳司

1991年 NTT入社。その後2007年に解体工事業大手の株式会社前田産業に入社し、現場から実務を経験。常務取締役を経て2022年に株式会社metalab.を設立。建設現場の調査DX推進に取り組む。

© metalab.

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
CLOSE