足場業者が直面する石綿リスクと安全管理対策

業界別対策ガイド

1.知らないでは済まされない足場設置時の石綿対策

足場設置作業では、建物の外壁や塗装面に接触する機会が多く、石綿(アスベスト)含有のリスクを無視することはできません。特に、古い建築物では石綿を含む塗膜や下地が使用されている可能性があり、粉じんの飛散による健康被害が懸念されます。 施工時に石綿を飛散させないためには、事前調査を徹底し、安全対策を実施することが不可欠です。例えば、既存塗膜の損傷や劣化が見られる場合は特に注意が必要で、適切な防塵対策を講じることが重要となります。知らないでは済まされない実態が目の前にあります。

2. 元請だけでない、事業者責任

石綿対策は元請業者の責任だけではなく、足場業者を含む全ての関係者に義務があることを理解する必要があります。労働安全衛生法では、作業者の安全を確保するために、リスクアセスメントと適切な管理策を実施する責任が事業者にも求められています。
足場業者としては、以下の対応が求められます。
• 作業前に石綿含有の有無を確認し、必要に応じて元請と情報共有する。
• 石綿含有が疑われる場合は、適切な防護措置を講じる。
• 作業員に対し、石綿に関する教育を行い、安全な施工方法を徹底する。

3.集じん機付きドリルでの施工方法

足場設置時のアンカー施工などでは、ドリルを使用する機会が多く、適切な粉じん対策が必要です。その中でも、集じん機付きドリルを使用することで石綿粉じんの飛散を大幅に抑制できます。
集じん機付きドリルのポイント:
• 石綿含有の可能性がある場合は、乾式ではなく湿式工法を採用する。
• 高性能フィルターを搭載した集じん機を使用し、粉じんをその場で回収する。
• 使用後のドリルや集じん機は適切に清掃し、粉じんの拡散を防ぐ。

昨今では、へパフィルター付きの集じん機を求められるケースがあるようですので、購入する場合はその辺も考慮する必要があるようです。
また、集じん機付きドリルの集じん機内に集積された粉じんも石綿含有廃棄物となり、保管や運搬、処分も廃棄物処理法に準じた対応となることも注意して下さい。

4. みなし含有と分析調査の判断

「みなし含有」とは、石綿含有の可能性がある建材を、分析調査なしに石綿含有とみなして取り扱うことを指します。
みなし含有とするか、分析調査を実施するかの判断基準は以下の通りです。
• 調査に時間や費用をかけたくない場合 → みなし含有として適切な安全対策を講じる。
• 確実にリスクを判断したい場合 → 分析調査を行い、含有の有無を明確にする。

分析調査では、専用のラボで試料を分析し、含有率を判定します。これにより、不要な対策コストを抑えつつ、法令を遵守することが可能となります。
主にアンカーを打つ箇所の範囲の塗材が対象となることが多いと思いますが、施工されている面積や色の違いを考慮して、スピードとコストを見極める必要があると思いますが、いずれにしろ作業員の健康被害を一番に考えることが優先されると考えます。

施工業者としては、工事内容や建築年代、施工コストと工事スケジュールなどを考慮し、適切な判断を下す必要があります。

5.メタラボ石綿事前調査システムで解決できること

石綿調査の手間やコストを削減するために、「メタラボ石綿調査システム」が役立ちます。調査に馴染みのない方にも順を追って調査することで報告書を作成することが出来ます。調査記録もスマホで簡単に利用できるので片手で記録が可能となります。

石綿調査は、足場業にとって避けては通れない重要な課題です。事前調査を適切に実施し、安全対策を徹底することで、作業者の健康を守り、法令違反のリスクを回避することが会社を守ることにもなります。

前田 淳司

1991年 NTT入社、その後2007年に総合解体工事業大手の株式会社前田産業に入社、解体工事業を現場から学び、その後同社常務取締役を得て、2022年株式会社metalab.を設立。 自らが経験した解体工事業の経験を活かし、人口減等の社会的課題を解体業に特化した サービス提供で業界イノベーションを推進したい思いから事業を立ち上げ、現在では解体 工事現場代理人教育や解体施工技士対策講師等も実践している。解体工事業界18年目。

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